パクリ問題☆少年ガンガン新人賞漫画作品に盗作された『マルドゥック・スクランブル』
今、冲方丁氏の『マルドゥック・フラグメンツ』を読んでいるのじゃが、ひょんなことから、2011年に『少年ガンガン』で新人漫画家による盗作事件があったことを知った。
これ、アニメ映画化されていたんだね。
目次じゃ!
漫画と小説の盗作パクリ問題
小説『マルドゥック・スクランブル』を盗作した新人賞漫画
『少年ガンガン「コンプライアンス-絶対法隷都市-」が 冲方丁のライトノベル「マルドゥック・スクランブル」の外伝短編に酷似』ということで――
盗作されてしまった冲方丁氏の『マルドゥック・フラグメンツ』の中の一編『スクランブル104』を読んだのだが――
マルドゥック・フラグメンツ (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-11)
- 作者: 冲方丁,寺田克也
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たしかに盗作だよなあ。ここまでそっくりにしてしまうとは……これはあかんよなあ。
少年ガンガン編集部もこの新人漫画家も謝罪したようで――新人漫画家さんは賞金を返還し、創作活動を自粛するとのこと。
その漫画家さんが書いていたブログのタイトルが『頼むから俺に漫画を描かせてくれ』……なんか切ないよな。本当に漫画を描くことが好きだったのだな。盗作問題が起きたのは2011年だが……もう描いてないのかな。
ただ、盗作とはいえ、よくあの『スクランブル104』を漫画化できたよなあ。あれを読み切り漫画にしてみろ、と言われてもワシはできないな。説明じみた分かりづらい漫画になりそう。
小説のほうでも『スクランブル104』は外伝なので、まず本編の『スクランブルシリーズ』を知らないと、その世界観(ルール・掟)は頭に入りにくい。
それを読み切り漫画作品に仕上げるとは、この新人漫画家さん、なかなかやるじゃないか。才能あると思う。
なお、盗作された冲方さんはブログでこのようにコメントしていた。
↓この問題について、スピリッツのマンガ編集者もこんなツイートしていたようだ。
同人誌とかコミケとか、普通に二次創作がまかり通っており、世間から認知されている世界がある。
なので、その世界で活動してきた人はパクることについて罪の意識はまるでなく、盗作も悪いこととは思っていないのかも。
コミケの世界ではよほどのことがない限り、盗用は問題にならない。だからこそ盛り上がり、巨大なマーケットに成長したんだろう。
プロの世界にだってパロディやオマージュもあり――結局、どこまでのパクリが許されるかなんだよなあ。
盗作したというこの新人漫画家さん、内容だけではなく、絵の構図・キャラのポーズなども他作品からパクっていたといろいろ指摘されているけど……。
そーいや、漫画家の末次由紀氏が『エデンの花』で、『スラムダンク』の構図をトレースしたとかで問題になったこともあったっけ。
漫画トレースもお互い様・竹熊健太郎が語る現場と著作権法のズレ
編集者・竹熊氏も指摘しているけど、トレースなんてお互い様じゃないか? それなのに講談社は末次氏の過去作品まですべて絶版にするなど、かなり重いペナルティを与えた。
けど、末次由紀氏はその後、復帰し『ちはやふる』でヒットをとばして大活躍。
なので、その盗作してしまった新人漫画家さんもがんばってほしいよな。すでにファンもいたようだし。
※マルドゥックシリーズ。小説の他、講談社から漫画化されコミックもある。
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 冲方丁
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マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
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星海社・新人賞作品による盗用騒ぎ
以前、星海社が主催している新人賞をとった小説作品でも盗用疑惑が話題になったことがある。
↓「たくさんの類似点があった」と訴えるパクられたほうの作家さんの言い分はこのようだ。
ほかの人の意見も様々。「盗作だ」という人もいれば、「オチも違うし盗作ではない」「騒ぐほどのことではない」という人もいる。
ちなみにワシは読んでないので詳しいことは分からないけど、オチが違えば盗作ではないだろう。設定・アイディアやキャラが似ることはよくある。
講談社の子会社『星海社』について
このパクリ騒動よりも、星海社が催す新人賞への応募作品について、編集者らが座談会と称し、けっこう厳しい(というか悪口)批評を公にしてネットで晒していることに、ちょっとびっくりしたっけ。応募者に対し「クソ原稿、クズ原稿を送ってくるな」と失礼なことを言ったりしていた。
漫画だと、編集者は最初の数ページ見て「つまらん」と思ったら、その後は読まずにパラパラ~と原稿をめくり、目を引くところがあれば、そこで止まるが、そうでなければ、そこでおしまいとなる。ほとんど読んでくれない。
小説の場合はどうなのだろう?
少なくとも、星海社編集部では『クソ原稿』でも最後まで読んでいるようだ。ま、それはかなり大変な労力だ。
ちなみに4コマ漫画も募集もしており、編集者による作品批評=座談会は、小説と同じ調子で行われている。
たぶん、このえげつない座談会、注目されるように宣伝の一環としてやっているんだろうな。(イケハヤ氏がやっている煽りのようなもの)
たしかにインパクトはあった。星海社という出版社は印象に残る。少なくともワシは、星海社がどんな本を出しているのか、興味を持った。
新人クリエイターやクリエイターの卵を見下しているように見える星海社だが――応募するほうも、そうされるのが分かっていて投稿するのだろう。
そんな星海社について調べてみたら、そこに所属している編集者のつぶやきを見つけた。
社員がひとりもいない会社なので、フリーランスにならないと合流できません。有給もボーナスもありません。
うむ、星海社に雇われている編集者は全員、正社員ではないようだ。トップ層だけ講談社から出向という形の正社員。
ちなみに、この編集さん、2017年5月いっぱいで星海社を退社。今は自分で会社を起ち上げたようだ。星海社で経験を積んで良かったとのこと。
そーいや、編集長だけ正社員で、その下の編集者はフリー、という形態の編集部・出版社ってけっこうあるよな。
編集者も、作家や漫画家やライターのようにフリーランスであることが普通、という時代になっていくかもなあ。
出版社としても、正社員だとクビにすることも給料を下げることもできないわけで、それなら社員の数を減らし、いつでもクビにできるフリー編集者を雇ったほうがいいだろう。出版業界は年々厳しくなってきているし。
さて、星海社編集部については、ほかにこんな記述もあった。
深夜3時ぐらいまでは、社内メールが普通に交わされます。
24時からはじまるミーティングもあります。
『24時から始まるミーティング』って……健康を害するようなことをさせてパフォーマンスが上がるはずない。ちゃんと睡眠とらないと、頭が働かないよなあ。
こういう編集部は根性論でもって、作家にも無理をさせたがるかもなあ。
追い詰めればいい仕事ができると思っているんだろうな。
体育会系・古い根性論をまだ引きずっている会社、時代遅れという気もするが。
星海社・人員募集対談
『2017年度、星海社人材募集開始!』より副社長の言葉を抜粋
『おもしろい企画をたくさん実現して、大手出版社にたまたま就職が決まった同年代はおろか、10歳、20歳年上の編集者のギャランティーを大幅に超えてやりましょう』『星海社のエディターのひとりの年俸が、彼より10歳年上の講談社社員、つまり僕(=太田克史副社長)の年俸を超えます。経営者の自分よりも給料が高い現場のエディターを出すという、星海社を始めたときの僕の目標のひとつをクリアできました』
星海社は『実績が上がれば、個人にリターンのある出版社』『比較的企画が通りやすい出版社』ということで、完全な成果主義のようだ。
ただ、この星海社を仕切っている副社長の太田克史氏は、未だに講談社の社員として、講談社に守られているんだよなあ。
(星海社は、講談社が100%出資している子会社。副社長は講談社から出向という形をとっているのだろう)
トップ層は講談社に守られ、部下の扱いは『不安定なフリーランサーとあまり変わりなし』というのが、ちょいとひっかかるが、おもしろそうな出版社ではある。
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