これも何かの縁

ピアノとマンガの道を歩んできたハヤシのエッセイ・イラスト・物語集

男にとって結婚はメリットなし?☆家庭崩壊・悲惨すぎる元自衛官の自爆事件

前記事で話題にした婚活市場。
女にとって過酷な戦場だ。なので、えげつないのも仕方ない。

そのえげつなさを感じさせる、はあちゅうさんの発言を紹介。
https://twitter.com/bot_hachu/status/843964770147426304より
『婚活の最大の敵は情。決定打の無い人を断ち切れない中途半端な弱さが取り返しのつかない事態を招く』

シビアだ。婚活は『情』を敵とする、まさに戦場。
婚活疲れ・婚活鬱という言葉もあるのも頷ける。心が病む・心が歪むのは当然。
そこまでして結婚したいのかどうかも問われる時代となった。

婚活市場では戦略が大事のようで――『自分』という商品をどのようにアピールし、かつ相手に対しどこまで妥協できるか、売りと買いのバランスが大切なようだが、どこか寒々しいものを感じないでもない。

考えてみれば、誰か一人を選び・選ばれるって、大変なことでもある。就活よりよほど難しい。

おっと前置きはこれくらいにして――
目次じゃ!

結婚離れ

男にとって結婚はメリットなし

漫画家・西原理恵子氏は『家族の悪知恵』でこう言っていた。

「婚活って悲しい。女は男の収入を見て、男は女の若さと顔を見て、悲しいトレードが行われる。そんな戦場に息子を送り出せない。結婚って、男の人にとってメリットがない。すごいローンを背負わされるだけ。私は息子にあまり結婚を勧めない」

「婚活は低レベル同士の集まりだ」

おお、西原氏、『恋愛工学』の藤沢数希氏と同じ意見のようじゃの。

そう高所得者にとって結婚はハイリスク」「子どもにこだわらないなら結婚にメリットはない。子どもがほしいなら事実婚がいい」と藤沢氏もおっしゃっている。

いや、これは『稼ぐ女』にとっても同じこと。もし配偶者が無職だったら、稼いだ半分は婚姻費用として相手のものになるのだ。相手が浮気をしようが、暴力をふるおうが関係ない。慰謝料とは違う。離婚が成立するまで婚姻費用は発生し続ける。結婚という契約はそういうことになっているそうだ。

※このへんの法律の話は藤沢数希氏の『損する結婚 儲かる離婚』が詳しい。

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妻が怖い夫

NHKクローズアップ現代』ではこんな内容を放送していた。

夫からの離婚理由――1985年には第8位だった『妻からの精神的虐待』が、最新の調査で第2位に急浮上とのこと。妻が怖いという夫がけっこう多いようで、妻からモラハラを受けているようだ。

妻が夫にキレる理由――たぶん、上司の考えていることは忖度できるくせに、妻に対しては忖度できないからだろうな、と思いつつ――

昔は妻のほうが夫の顔色を伺っている家庭が多かったが、今はそうではないようじゃ。女性はほんと強くなった。これもフェミのおかげじゃな。

が、男性からすれば、子どもがどうしても欲しいというのでなければ、もはや結婚にメリットはない。

『結婚は人生の墓場』と言われていたが、現実になった?

ただ、疲れているのは妻も同じ。共働きだけど、やっぱり家事育児の大半は女性が担うこととなり、不公平感も募り、精神的にイライラしてしまい、夫に当たってしまうのだろう。

夫は、そんな家庭に帰りたくなくて『帰宅恐怖症』に陥り、フラリーマン=『仕事が終わっても家に帰りたくなくて街を徘徊する』こととなる。

温かい家庭を築くのは至難の業のようじゃ。

↓『夫デスノート』が話題になったことがあるが、こんなえぐい話もあったりする。

悲惨すぎる『元自衛官・自爆事件』

以前、宇都宮で元自衛官(栗原敏勝)の自爆事件があり「自爆した理由が悲惨過ぎる」と話題になったっけ。

55歳で退官後、家族とも仲良く幸せに暮らしていたらしい元自衛官
しかし娘が精神疾患にかかり、妻はカルト宗教にはまって散財。元自衛官の退職金も宗教へつぎ込んでしまう。
包丁を持った娘に襲われることもあったという元自衛官は娘を病院へ連れて行こうとするが、宗教にはまっている妻は反対し、はげしく拒否。
そこで、つい妻に手を出してしまう元自衛官

その後、妻からは離婚裁判を起こされ、老後の資金1500万円を没収され、自宅も競売にかけられたという。
自衛官の言い分は全く認められず、家庭は壊れ、財産も持っていかれてしまった。

――この事件には、そういった背景があったようだ。

やはり結婚ってリスクがあるなと思った。
人生の終盤にこんな罠が待っていたとは、この元自衛官も思わなかっただろう。

宗教が絡むと厄介。こっちのいうことなど聞く耳持たず。家庭は崩壊だ。財産も持っていかれてしまう。

日本では、奥さんがダンナの給料を全てを管理し、ダンナさんはお小遣いをもらうというスタイルがわりと多い。

が、こういった事件を耳にすると、ワシが男の立場だったら、自分の稼ぎは自分で管理し、月々の生活費を奥さんに渡すという形にしたい。ボーナス、退職金も自分で管理したい。

そういうと「奥さんは家政婦ではない」という反論がくるが――配偶者に自分の預貯金の管理、通帳や印鑑、キャッシュカード、クレジットカードを渡せるか、となると……よほど信用できる人間じゃないと無理。

そう、結婚するとしたら、相手を信用できることって重要だけど、そこまでの関係を築くのが大変そう。(もちろん、相手からも信用を得ないとね)

その人間が信用に値するかどうかを見極めるのって、けっこう難しい。

それに、この元自衛官のように、長年、何の問題もなく暮らしていても、信頼関係が壊れてしまうこともあるのだ。

家族という閉じられた世界では悲劇が起きやすい。殺人事件なども実は親族間が一番多いという。

人間、どう変わっていってしまうか分からない。こういったことも、結婚はリスクが高いと言われる所以だろう。

結婚による経済リスク

3組に1組が離婚する時代。
結婚後に築いた財産は、配偶者にも半分、権利があり、もし離婚となれば、半分持っていかれてしまう。

どちらに非があるかないかは関係ない。
非があれば、そのほかに慰謝料が発生するだけの話。

たしかに、今まで家族のために家事育児で働いてきた奥さんにも半分、権利があるのは当然だ。

ただ、その働きというのは個人差が大きい。
あまり働かない人もいれば、家族のために尽くして尽くして尽くしまくる人もいる。

稼ぎのある女性も同様。
稼ぎの少ない・無職に近いダンナと結婚し、その後、離婚となった場合、結婚後に築いた財産は半分、ダンナに持っていかれる。
結婚制度とはそういうものなのだ。そして離婚がなかなか成立しなければ、その間、婚姻費用も発生する。

となると結婚にはやはり慎重にならざるを得ないだろう。

「そう深く考えずに、とりあえず今つきあっている人と結婚してみよう」という『とり婚』を推奨する人がいるけど――やはり結婚には、ものすごい覚悟が問われる気がする。慎重になるべきじゃ。

これからは男性も財産管理含め、奥さん任せにせず家庭運営に参加したほうがいいだろう。

その代り、結婚する前に、いろいろな取り決めをしておかないと、結婚後「話が違う」ってことになりかねず、家庭内戦争が勃発する。

経済面・財産管理だけではない。子どもをどうするのか、子どもの育て方、家事や育児の分担などなど家庭運営は大変だ。

夫婦間でそういったことを擦り合わせていくには、ものすごい人間力、コミュニケーション能力が問われそうじゃの。

老後の心配

結婚しない人=子どもを持たない人たちへの脅し「老後はどうするの?」も効き目がなくなってきているかも。

自分の老後・介護など、子どもに頼ろうと考える人は少ないようだ。

公の老人介護施設に入るのに、かえって子どもがいないほうが入りやすいかもしれない。
そう、保育園と同じ。頼る人がおらず身寄りがない人が優先される。

保育園の場合、地方自治体で違うだろうけど――ある自治体では、実家の両親が近くに住んでいると、入園優先順位が低くなるそうだ。つまり「子どもは実家の親に面倒を見てもらえ」ということだ。面倒みてもらえるかどうか分からないのに。

本当に老後のことを考えるなら、子どもを持たずに働き、子どもにお金がかからない分、自分の老後資金に回すほうがいいかも?

※短編連作物語『これも何かの縁』に登場する小林和江もそういう考え方だ。

将来、子どもが『頼れる大人』に育てばいいが、そうじゃない場合もありうるのだ。
子どもが引きこもりニートだったり、あるいは就職できず非正規かバイト暮らしとなり、自立できず、ずっと養わないといけない存在になるかもしれない。

今の時代、子どもを持つこともリスクになってしまうのだ。

そして世間は親にこう求めている――子どもに見返りを求めてはいけない。損得勘定など言語道断。無償の愛であるべきだと。

それは正論だけど「親になるなら聖人になれ」と言っているのと等しい。

となると、子どもを持つのは大変そうだし、婚活市場は厳しいし、リスクは高いし、幸せになれる保障はないし、結婚も無理してする必要はないか、と考える人が出てくるのも仕方ない。

それに、老後のために今を我慢したり、妥協したり、将来のことを心配して生きるのもつまらないよな。

妥協婚VS非婚

2017年、当時39歳の菊川怜さんが世間の価値観でいう『ハイレベルの男性』とご結婚された時、巷では「王子様との結婚を夢見るアラフォーBBAが増えるかも」と意地悪い意見が聞こえてきたりしたっけ。

中高年・初老の金持ち芸能人が、20も30も年下の女の人と結婚した時も、「若い美女との結婚を夢見る勘違い中高年ジジイが増えるかも」と、意地悪い意見が飛び交うのと一緒。

※ただし菊川怜さんの結婚相手には別れた妻の子のほか婚外子も複数いたりして、複雑な女性問題を背負った方ということで、一般女性から見れば「うらやましいとは言えない結婚」だったようだ。

まあ、とにかく――別世界の芸能人の結婚を見聞きしていると、ついつい理想が高くなり、婚期を逃す?

いや、大丈夫。
みんな、自分のこと分かっているって。

ただ「これが、あんたにはお似合いよ」と言われて、妥協して意に沿わない人と結婚するのは気が進まない。

よくアンケートでみる設問。
「あなたは結婚したいですか?」

そりゃ、理想の人や好きな人がいればしたいだろう。

だから設問をこう変えてみればいい。
「あなたは、好きでない人・望む条件に及ばない人・意に沿わない人と結婚したいですか? 誰でもいいからとにかく結婚したいですか?」

たぶん、イエスと答える人はほとんどいないのでは。

そう、のび太ジャイ子との結婚を嫌がったように、嫌なものは嫌。

結婚するなら、理想を求めていいと思うよ。
だって、それだけのリスク背負うんだもの。妥協して結婚しても結局、不満を抱えることになり……けれど、そう簡単に離婚はできないわけで。

それにずっと同じ人と暮らすって、けっこう大変だ。

はあちゅうさんや勝間和代さんも言っていたけれど、友だちでさえ『ずっと同じ面子』というのは『ない』らしい。
自分の周りにいる人がずっと変わらない、というのは、自分が成長していない証拠なんだって。

自分のレベルが上がれば、同等にレベルの高い友だちを求めるのが自然。
新しい上のレベルのステージには、そこにふさわしい人たちがいるわけで、新しい人と友だちになったほうがいいとおっしゃっている。

ぶっちゃけ、古い友だち(自分が低レベルだった時の友だち)から離れましょう、ということだ。

人間、新しい人に興味を持つ。古い人には飽きる。だんだん合わなくなっていく。

夫婦もそうなるケースがけっこうありそう。

そうそう、よく聞くのが――売れるようになった芸能人やミュージシャンが下積み時代を支えてくれた女性を捨てて、今の売れている自分にふさわしい新しい女性とつきあうようになるという話。(『ゲス乙女』の川谷絵音さんとベッキーさんを思い出すが)

なんて薄情な、とは思うが……売れると、全く新しい人生のステージに立つことになり、周囲の人間も変わっていく。
若くてキレイで有能な女性とも巡り合い、世間でいうところの『レベルの高い人間たち』が自分の周りに集うようになるので、どうしたって古い恋人や妻は見劣りがし、別れたくなり、新しい魅力的な人とやり直したい、となるようだ。

もちろん、自分が衰えたり、売れなくなったりして、ランク・レベルが落ち、そのステージとやらから脱落した時、今までつきあってくれた周囲の人間は離れていくだろう。だって「あなたはもうそのステージにふさわしくない人」だから。「あなたは見劣りする人」だから。

なので、絶対に衰えるわけにはいかない。頑張り続け、上昇し続けるしかない。
それが幸せかどうかはわからんが、そういう生き方もありである。

ということで、友だちであれ、恋人であれ、夫婦であれ、一人の人と末永くつきあえる、そういう人に巡り合えるというのは奇跡的なことかもしれない。

夫婦の場合は法律の縛りがあり、別れるのはそう簡単ではないので、仮面夫婦、家庭内別居、別れたいけど難しいので仕方なく一緒にいる、というカップルも多い気がする。

組織も、ずっと同じ面子で構成されていると澱んでくるよね。成長も止まる。
コミュニティは流動的であるほうが健全さを保てる。

そんな中で、情を育み、末永くつきあえる人間関係を得て、幸せに暮らすなんて奇跡的なことだ。

その奇跡を願って、膨大なエネルギー割いて努力をし、博打に近いことをするよりも、基本一人で生きていくことを覚悟し、一人でも幸せになれるよう方策を練ったほうが不幸を回避できるかも……と思ってしまう昨今であった。

 

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物語の中くらいは『ほんわか』でありたいよな。ということで『これも何かの縁』では夫婦愛・家族愛をテーマに描きつつ、そこにあえて非婚・非恋愛=結婚や恋愛から距離を置く生き方にも焦点を当てていきます。基本、ハートフル、たまにえげつなく厳しいネタが入ります。

 短編連作物語「これも何かの縁」目次はこちら↓