これも何かの縁

ピアノとマンガの道を歩んできたハヤシのエッセイ・イラスト・物語集

親からも嫌われるオタク

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オタクについて。毒舌アリ。不愉快になった方、先に謝っておくぞ。

目次

 

親からも嫌われるオタク

まずはオタキングこと岡田斗司夫氏の朝日新聞で行っていた「オタクの息子をもつ母親の相談に対する答え」を紹介。

メイキング・オブ[悩みのるつぼ]・オタクの息子に悩んでいます - FREEexなう。

『29歳のオタクである息子』について、母親は「子育てに失敗した」と言うのだけど――それに対する岡田氏の答えがこれだ。

あなたは息子が嫌いなんです。気持ち悪いオタクなんて、我が息子でもイヤだ。

かまわないと思いますよ、息子が嫌いでも。もうお互い、嫌いでも困る年じゃないし。

子育ては、子供を幸せにすることではありません。一人前の社会人にすることです。一人の人間が一人前になるには30年~35年かかるという覚悟が必要です。

それを三段階に分けて説明してみましょう。

i. 育児期間 15歳まで
ii. 教育期間 25歳まで
iii. 社会貢献期間 35歳まで

で、ここで問題なのは、そんな気持ち悪い男と、なぜ一緒に住んでいるのか、ということです。

A. 育児期間において、互いが嫌いなのは大問題です。
B. 教育期間において、互いが嫌いなのは不幸です。
C. 社会貢献期間において、互いが嫌いなのはバカです。

 

つまり、解決法は29歳になったオタク息子とは離れて暮らせばいいということ。

さすが岡田氏。説得力のある明快な答え。※ただし、この答えは、岡田氏一人だけではなくスタッフたちの考えも含まれているようだ。

『愛人騒動』はあったけど、頭はいい人なんだろうな。

うむ……話をもとに戻そう。

オタク趣味に理解がある親御さんもいるだろうけど、たぶんレアケース。
「気持ち悪い、情けない」と思う親御さんのほうが大半かも。

親御さんの気持ちもわからなくはない。
「立派でなくていい、普通に育ってほしい」と思いながら、お金と時間をかけ、子育てに莫大なエネルギーを使う。

が、その結果、育ったのは『世間から蔑まれ嫌われ気持ち悪がられるオタク』だとしたら――それはもうガッカリだろう。

おっと、きれいごとはなしね。
親だって人間だ。聖人ではない。欲もあるし、自分なりの希望や夢もある。
子どもに期待するな、夢を持つな、というのも酷な話だ。

あんな大変な思いをして育てたのに……と、ただただ後悔。
親によっては「産まなきゃよかった」と思うかも。そんなこと表にして言ってはいけないから、言わないだけかも。

だって、オタクのワシでさえ「自分の子どもはオタクであってほしくない」と思ってしまうんだもの。

それだけ世間の価値観って大きい。なかなか無視できない。
オタクのネガティブイメージは強力だ。オタクの闇は深い。

自分はオタクだけど、子どもはオタクであってほしくない。
そう考えるオタク、意外といるのでは?

そして、実は自分も心の底ではオタクを嫌っているのかもしれない。
で、オタクである自分のことも嫌い。

だからアニメ監督の山本寛氏や作家の水野敬也氏もオタクを叩くのだろう。

普通の人になれなかったオタクなハヤシ

キモオタのワシもかつて『普通の人』になろうと努力はしてみたものの、無理であった。一般の人たちから浮きまくり、全く馴染めなかった。矯正に失敗し、世間様が良しとする価値観からの落伍者であることを自覚。

※その話はこちらでチラッと触れた↓

けど『普通の生き方』に見切りをつけてからは、オタク道まっしぐら。
自分の欲望に忠実になった。

世間でいうところの『普通ではない偏ったおかしな人間』『社会の害悪・サイコパスにも見えるらしい気持ち悪いオタク』になった。

山本寛監督が言うところの『人間ですらない虫けら』となった。

反差別を訴える人権派フェミニスト上野千鶴子氏が言うところの『再生産されずに滅んでくれていい=淘汰されてほしい社会にとって迷惑な生き物』となった。

そう、オタクは人間以下。ナチスヒトラー思想はオタクにだけ発動。

オタクはみんなの嫌われ者――この世間の価値観に背くのは実に難しい。

オタクが嫌いなそこのあなた、自分の子どもがオタクにならないよう、せいぜいがんばってくだされ。

ま、未婚の方は、結婚相手を吟味し、ちょっとでもオタク要素があればやめなはれ。

あるいは、ご自分にちょっとでもオタク要素(ひとつのものにこだわる、世間の価値観に馴染めない、普通の友だちが少ない、学生時代に友だち作るの苦労した、いじめられっこである、普通の人たちの輪に入るのが苦手などなど)があれば、子どもを持つことはあきらめたほうがいいかもよ~♪

苦労して育てたあげく、オタクに育ってしまったとしたら……ああ、悲劇。
ハズレを引いてしまった~ってか(笑)

オタクは親からも眉をひそめられる存在。(全部が全部とは言わないけれど)

親だって普通の人間なのだから、これは仕方ないと思う。
嫌いなものは嫌い。この感覚はどうしようもないものだ。

やっぱ基本、オタクは普通の人から「ああはなりたくない」と思われてしまう残念な人種なのだ。

オタクの生き方

だからこそ、嫌われ者のオタクはもう自己完結でいくっきゃない。独りを恐れるな。
周りの目など気にせず、好きなように生きようぜ。世間様とは、生活できる程度の最低限の関わりに留めておけばいい。

無視も上等。ウザイ挨拶もしなくて済むではないか。

虐めが蔓延する世の中とは、できるだけ関わらない。解決法はこれしかない。

無視される・仲間外れにされる・ハブにされる――我が道を進むのに、けっこうラッキーなことかもよ。煩わしいものから解放されようぜ。

いやあ、ワシもちょっと前まで「オタクは世間に認められるようになった」と大いなる勘違いをしていたことが、実に恥ずかしい。身の程をわきまえていなかった。

自分の心の中を覗いてみれば「子どもはオタクに育ってほしくない」と思い、「オタクな息子が嫌だ」という相談に寄せられた親の気持ちも分かるんだものね。

オタクは眉をひそめられる存在であることを自覚せねば。

ま、世間から嫌われる存在として間違って生まれてしまったが、有害人種としてガス室に送られないだけ、ずっといい、とワシは思うぞ。

余談・亡くなった息子のオタク趣味を公開した親

NHKで「雪崩で亡くなった高校生の、オタクグッズがたくさん並べられた部屋」が報道されたのだが――

そのNHK報道に対し「死者を辱めている」などのコメントが目立った。

「オタク趣味は恥ずかしい」「オタク趣味は隠しておきたい」というのが世間一般の感覚だ。オタク趣味だった死者に対し「気持ち悪い」「恥ずかしい趣味を全国放送であばかれてかわいそう」というような感想も並んでいる。

ただ、この高校生の親は、息子の趣味を恥ずかしいとは思っていなかったのだろう。だから公開した。こういう親御さんもいるのだな。

徐々に変わりつつあるかもしれないけれど、未だ「オタク趣味は隠しておきたい、表にできない、公にするのは憚れる」=「世間から見下され馬鹿にされる趣味、気持ち悪い趣味」というのが一般認識のよう。

だからオタク自身も自嘲しながらオタクな他者を貶める。いや、本当は自分を貶めているのかもしれない。あるいは「自分は気持ち悪いオタクだと自覚してます。だからあまりいじめないでね」と予防線を張っているのかもしれない。

世間の価値観に毒されると、劣等感をこじらせてしまうよな。

世間の価値観からいかにして逃げるか。これがこの世で生きていくオタクの課題じゃの。

 

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