これも何かの縁

ピアノとマンガの道を歩んできたハヤシのエッセイ・イラスト・物語集

タイムスリップ・タイムトラベル作品6選(ライトノベル・マンガコミック・映画DVD)

RPGクロノトリガー』が好きなハヤシは、タイムスリップ・タイムトラベルもの作品をあさったことがある。

有名どころは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『時をかける少女』『僕だけがいない街』『戦国自衛隊』『信長のシェフ』『信長協奏曲』『JIN』『ハルヒ』が頭に思い浮かぶけど――

たいてい主人公は記憶を持ったまま、時を飛び越え、行ったり来たり、時間軸塗り替え型が多い。

時間軸枝分かれ型(パラレルワールド型)というと『ドラゴンボール』のセル編の話しか思い浮かばないよなあ。ただ、時を超えたのは、主人公の悟空ではなく、トランクスだし。

ちなみに『君の名は。』は時間のズレを利用して、そうなるはずだった歴史(運命)を変える時間軸塗り替え型だ。ただ、入れ替わっている間、曜日のズレに気づかなかったのかなあ。曜日がズレていれば、年もズレていたことに気づくよなあ。

いや、まあ……こういった時空を飛び越える物語はあれこれ細かい矛盾は気にせずに楽しむのが一番。
以下、おすすめ時空飛び越え作品の紹介じゃ。

目次じゃ!

タイムスリップ・リープ・トラベル・ループ作品6選

マンガコミック

☆『ファイヤートリッパ―』(高橋留美子) 

※内容【17歳の女子高生・涼子は、近所にすむ少年・周平と共にガス爆発事故に巻き込まれ、戦国時代の合戦場へタイムスリップする。野盗に襲われた涼子は、戦国時代に生きる少年・宿丸に助けられる。宿丸の村に連れて行かれた涼子は、宿丸の家の着物の中に周平が着ていた洋服を見つけ、周平も戦国時代に来ていると知る。涼子は宿丸とともに周平を毎日のように探し回るうち、宿丸に惹かれるようになっていくが】

高橋留美子氏の30年以上前の短編。今、読んでも傑作。『るーみっく・わーるど1』の中に収められている。 1986年にはOVAとしてアニメが製作された。当時、それだけ評判になった作品だ。とにかくよくできたお話。感動した。

マンガではタイムスリップものは多いけど、その中でも『ファイヤー・トリッパ―』は群を抜いている。しかも短編・読み切りなんだぜ。んで、この頃は『うる星やつら』を週刊連載しながら描いたんじゃないかな。とにかく、高橋留美子の才能を見せつけられる作品だ。

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映画・DVD

サマータイムマシン・ブルース

※内容【とある大学の「SF研究会」。前日にクーラーのリモコンが壊れてしまい猛暑の中ぐったりしてる部員達の前に突然タイムマシンが出現する。昨日に戻り、クーラーのリモコンを取ってこようと思ったメンバー。しかし、タイムトラベルし たことが面白くなった面々は、過去の世界で遊んでしまう。そんな中、過去を変えると今が消えてしまう可能性がある事を知り、慌てた部員たちは 自分たちの「今」を消さないために、自分たちが過去でやらかした一連の行動が致命的なことにならないようにリカバリーしようとするが】

若き日の瑛太上野樹里の姿が見られる。もちろん面白かった。どこかに切なさを残し、コメディながらも余韻がある。自信をもっておすすめする。

☆バブルへGO

※内容【800兆円の借金を抱え破綻の危機に瀕した日本。財務官僚の下川路功は諸悪の根元を、1990年のバブル崩壊にあると考え、タイムマシンで歴史を遡りバブル崩壊を阻止しようと計画する】

とにかく笑える。

小説・ライトノベル

☆『七日目は夏への扉』(にかいどう青) 

七日目は夏への扉 (講談社タイガ)

七日目は夏への扉 (講談社タイガ)

※内容【学生時代の恋人・森野の訃報。初めて聞くはずのそれをわたしは知っていた。残された証拠から推測すると、森野は自殺したのかもしれない。それも殺人を隠蔽するために。死の真相をさぐるうち、わたしの一週間が崩れだす。火曜日の次の日は月曜日。次は水曜日で……。意味がわからない。けどこれだけは言える。あいつが死ぬのは七日目だ。なら、やるべきことは決まってる――。 あいつを救う】

下で紹介する高畑京一郎氏の『タイムリープ』と構造が同じ。ヒロインが男前でカッコいい。対してヒロインが救おうとする元彼はちょっと屈折したヘタれではあるけど、おもしろかった。なぜヒロインがタイムリープするようになったのかは、ちゃんとした説明はないけれど。

☆『君と時計と嘘の塔』『君と時計と塔の雨』『君と時計と雨の雛』『君と時計と雛の嘘』(綾崎隼

※内容【織原芹愛の死を回避できなければ、杵城綜士は過去へと飛ばされる。その度に「親友や家族が世界から消失する」という大き過ぎる代償をともなって―。無慈悲に繰り返される時間遡行を断ち切るために、綜士と芹愛は『希望と言い切るには残酷に過ぎる、一つの選択肢』の前で苦悩する。鈴鹿雛美がつき続けた嘘と、隠された過去とは…】

救いたい人のために過去に飛び、時間をやり直しする。これも、最後までどうなるのか読めず、おもしろかった。ハッピーエンドではあるが、切ない。

が、それにしても長い……。4巻もあるからなあ。その代り、伏線はきちんと回収し、こちらはなぜ主人公らが時を飛び越えるようになったのか、説明がある。よくできている作品だ。

☆『タイムリープ・あしたはきのう』(高畑京一郎

タイム・リープ―あしたはきのう

タイム・リープ―あしたはきのう

※内容【鹿島翔香。高校2年生の平凡な少女。ある日、彼女は昨日の記憶を喪失している事に気づく。そして、彼女の日記には、自分の筆跡で書かれた見覚えの無い文章があった。「あなたは今、混乱している。若松くんに相談なさい」若松和彦――校内でもトップクラスの秀才。半信半疑ながらも、相談を受けた彼は翔香の記憶を分析する。そして、彼が導き出したのは、謎めいた時間移動現象であった。「タイム・リープ―今の君は、意識と体が一致した時間の流れの中にいない」――高畑京一郎が組み上げる時間パズル】

20年以上前に出版された作品『あしたはきのう』があんまり色あせておらず、『七日目の夏の扉』に負けていない。ただ、登場人物らの心情描写は『七日目の夏の扉』のほうが上だ。

でも、それは主人公たちの年齢の所為かもしれない。『あしたはきのう』は高校生、『七日目の夏の扉』は社会人だ。よって『あしたはきのう』は勧善懲悪、『七日目の夏の扉』は敵にもそれなりの事情・理由があったという描かれ方がされている。

『君と時計と~』は時間を飛び越える者が複数いるため、4巻という長編になったのだろう。が、複雑ながらも上手くまとめている。

あえてのツッコミ

タイムスリップ・トラベルものに矛盾点があるのは仕方ないこと。それでも、あえてネタとしてツッコんでみるのも、タイムスリップ・タイムトラベルものを楽しむ醍醐味……かもしれない。

『ファイヤー・トリッパー』はじめ『戦国自衛隊』『信長協奏曲』『信長のシェフ』など、戦国時代へタイムスリップする物語が多いよなあ。『JIN』は江戸末期だったけど……現代の主人公たちと、現地の人たちの会話……スムーズだよなあ、よく通じるよな……。

まあ、それを言うなら『クロノトリガー』だって、原始時代の人とお話ができてしまうのだし、さらにタイムトラベルとは関係ないが『宇宙戦艦ヤマト』ではほかの星にお住まいの人と難なく会話ができてしまうわけで……そこはもう『目をつぶりましょう』といったところだろう。

さて、人間ドラマとして見た場合、あえてあえて『ファイヤー・トリッパー』にツッコミを入れるとしたら――主人公の涼子、現代にいる育ててくれた両親に何も言わずに、また戦国時代へ宿丸と帰ってしまうのかい? と今なら思う。

少年漫画なので登場する少年少女の思いのみで話が構成されるのは当然なんだけど、やっぱ大人視点で見ると「涼子よ、親の気持ちをもうちょい考えろよ」とも思ってしまう。

ただ、何にせよ読み切り短編だ。親が登場したらページ数は足りなくなるだろうし、話のリズムが狂うので、カットせざるを得ない。

逆に、そういったことが気になるようになったら、少年漫画は卒業ということなのだろうな……。

余談『ぼくは明日、昨日のきみとデートする 

漫画化・実写映画化され、かなり話題になった小説。カテゴリーは文芸小説だけどライトノベルに近い。サクサクと読める。別の時間軸の世界に棲む男女が奇跡的に時間と世界が重なる刹那に会える、ということでタイムトラベル変形型になるのかな。ラストは切ないものの、全体的に軽いテイスト。薄味。設定は梶尾真治の短篇『時尼に関する覚え書』と同じだそうだ。

↓短編集『美亜へ贈る真珠』の中の一編にある。

美亜へ贈る真珠 〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

美亜へ贈る真珠 〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

 
美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 (ハヤカワ文庫JA)
 

余談『君の名は。

君の名は。』はタイムスリップ変形型になるのかな。入れ替わる時、タイムスリップしているということで。

ただ、入れ替わっている時、曜日がずれていること=年がずれていることに気づかないのかな、とは思った。入れ替わっている間にバイトをこなしたり、休日にデートしたり、学校の授業を受けたり(時間割、確認するよな)……曜日を気にしないとできないよなあ。

『実は年がずれていた』というアイディアは辻村深月の『かがみの孤城』もそうだったっけ。こちらは登場人物たち7名、帰るべき元の世界がそれぞれ年代が違い、最大で40数年ズレており……ファッションや持ち物、会話でかなり違和感を持つはずで、ズレていることに気づかないのはちょっと無理があるなと思った^^; 

かがみの孤城

かがみの孤城

 
かがみの孤城

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さてさてそんな『君の名は。』――ハリウッド実写映画化を発表したようじゃの……どうなることやら。

※『君の名は。』についての記事はこちら↓

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新海誠監督作品 君の名は。美術画集

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